M-1グランプリ2017順位と得点一覧!とろサーモン優勝の真相
漫才頂上決戦の歴史において、もっとも泥臭く、劇的なドラマが凝縮されていた大会として語り継がれるのが「M-1グランプリ2017」です。結成15年目のラストイヤーで崖っぷちから悲願の頂点へと駆け上がったとろサーモンと、圧倒的な構成力と技術で優勝候補筆頭と目されながら涙をのんだ和牛。審査員の票が真っ二つに割れた最終決戦の緊張感は、テレビの前の視聴者を完全に釘付けにしました。
今やテレビ界の中心で天下を獲った「かまいたち」の決勝進出、若き日の「さや香」が放った強烈なインパクト、さらに「上沼恵美子氏によるマヂカルラブリーへの酷評事件」など、現在のお笑い勢力図を決定づけた数々の伏線がこの夜に張られていました。本稿では、当時の一次データや審査員採点一覧、芸人たちの舞台裏の証言をもとに、2017年大会の全貌を徹底的に検証・解剖します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:結成15年のラストイヤーだったとろサーモンが最終決戦4票を獲得し、和牛(3票)との大激戦を制して第13代王者に輝いた。
- 要点2:初導入された「笑神籤(えみくじ)」が波乱を呼び、マヂカルラブリーへの上沼恵美子氏の酷評やジャルジャルの前衛漫才など歴史的瞬間が連発した。
- 要点3:かまいたち、マヂカルラブリー、さや香など、現在のバラエティ界を牽引する主役たちの原点となった大会である。
【熱戦の記憶】M-1グランプリ2017順位結果と審査員採点一覧
2017年12月3日にテレビ朝日系列で生放送された第13回大会は、過去最多となる4,094組がエントリーしました。審査員にはオール巨人、上沼恵美子、春風亭小朝、中川家・礼二、博多大吉、松本人志、渡辺正行(五十音順)の7名が着任。重厚な審査体制のもと、ファーストステージから歴史的な高得点争いが繰り広げられました。
まずは、大会公式記録に基づくM-1グランプリ2017 順位結果および得点データを振り返ります。
| 順位・コンビ名 | 合計得点 / 出番順 | ファーストネタ内容 | 最終決戦 投票結果・寸評 |
|---|---|---|---|
| 1位 とろサーモン | 645点(3位通過)/ 3番手 | 宗教の勧誘・クレーム処理 | 【優勝】4票(大吉、小朝、渡辺、礼二) |
| 2位 和牛 | 653点(1位通過)/ 9番手 | ウエディングプランナー | 【準優勝】3票(松本、巨人、上沼) |
| 3位 ミキ | 650点(2位通過)/ 8番手 | 漢字の読み方・数字 | 0票(兄弟ならではの高速しゃべくり) |
| 4位 かまいたち | 640点 / 5番手 | 告白の練習(理屈っぽい男) | KOC王者として参戦、惜しくも最終決戦逃す |
| 4位 スーパーマラドーナ | 640点 / 4番手 | 合コンの練習 | 敗者復活戦から勝ち上がり同率4位 |
| 6位 ジャルジャル | 636点 / 10番手 | ピンポンパンゲーム | 松本人志が95点の超高得点を記録 |
| 7位 さや香 | 628点 / 7番手 | 歌のお兄さん | 新星の登場として審査員陣を唸らせる |
| 8位 ゆにばーす | 626点 / 1番手 | ホテル・添乗員 | トップバッターとして会場の空気を一気に温めた |
| 9位 カミナリ | 618点 / 2番手 | 最強の生き物 | 代名詞の強烈なツッコミ叩きで挑む |
| 10位 マヂカルラブリー | 607点 / 6番手 | 野田ミュージカル | 審査員・上沼恵美子からの痛烈な説教へ発展 |
ファーストラウンドで首位に立ったのは、653点を叩き出した和牛でした。続いて新鋭として怒涛の勢いを見せたミキが650点で2位、ラストイヤーに執念を燃やすとろサーモンが645点で滑り込み、この3組による最終決戦へとコマを進めました。

とろサーモン優勝の理由|和牛との「4対3」激闘を分けた決定打
最終決戦の開票時、スタジオに走った戦慄を今でも鮮明に記憶しているファンは少なくありません。結果はとろサーモン4票、和牛3票、ミキ0票。わずか1票差という紙一重の決着でした。
なぜ、圧倒的な完成度を誇り、ファーストステージをトップ通過した和牛を抑え、とろサーモンが頂点に立つことができたのか。そこには漫才の技術論だけでは語りきれない、審査員心理とコンテストの力学が作用していました。
和牛のM-1 2017決勝ネタは、ファーストの「ウエディングプランナー」、最終決戦の「旅館の仲居」ともに、水田信二の理屈っぽく面倒くさいキャラクターと川西賢志郎の極限まで洗練されたツッコミが完璧に噛み合った傑作でした。実際、松本人志、オール巨人、上沼恵美子という東西の漫才界を象徴するレジェンド3名は全員一致で和牛に投票しています。「技術と構成の美しさ」という正統派漫才の指標において、和牛が大会最高峰にいたことは紛れもない事実です。
しかし、勝敗を決めたのは残る4名の審査員(博多大吉、春風亭小朝、渡辺正行、中川家礼二)でした。彼らが評価したのは、とろサーモンが放った「爆発的な熱量と毒気、そしてラストイヤー特有の切迫感」です。
とろサーモンが最終決戦で披露したのは、村田秀亮のソリッドなツッコミに対し、久保田かずのぶが怪演する「旅館の女将」「石焼き芋」のネタでした。和牛の漫才が寸分の狂いもない緻密な建築物だったとすれば、とろサーモンの漫才は「何が飛び出すかわからない予測不能のライブ感」に満ちていました。当時の舞台裏を振り返る関係者の手記によれば、「とろサーモンのネタが終わった瞬間、スタジオ全体が『この男たちに報われてほしい』という異様な熱狂に包まれていた」と証言されています。
落選を繰り返しながら15年かけて磨き上げた「クズ漫才」の狂気が、正統派の緻密さを土壇場の爆笑量で凌駕した瞬間でした。これこそが、とろサーモン優勝の理由として語り継がれる最大の要因です。
伝説の事件簿|上沼恵美子のマヂラブ酷評とジャルジャルの革新性
2017年大会が伝説と呼ばれる理由は、優勝争いだけにとどまりません。その後のM-1の歴史を根本から変えてしまう決定的な事件がふたつ起きています。
マヂカルラブリーへの説教劇と「2020年の伏線」
大会最大のハプニングとなったのが、マヂカルラブリーに対する上沼恵美子氏の酷評でした。全身全霊で身体を動かす「野田ミュージカル」を披露したマヂカルラブリーに対し、上沼氏は審査員席から「好感度上げようと思ったら審査員も愛想笑いしたらいいんですけど、本気で挑んでるからそんなんできません」「一生懸命やってるのはわかるけど、好みじゃない」「よう決勝残ったな」とカメラの前で容赦ない言葉を浴びせました。
野田クリスタルが上半身を脱ぎかけて土下座する姿は生放送の緊迫感を極限まで高め、当時ネット上では「公開説教」「パワハラではないか」と賛否両論の嵐が巻き起こりました。しかし、この屈辱的な敗北と酷評こそが、3年後の2020年にマヂカルラブリーが「漫才か否か」の論争を巻き起こしながらM-1王者に輝く奇跡の物語のプロローグとなったのです。
ジャルジャル「ピンポンパンゲーム」が残した功績
もう一つのハイライトは、10番手に登場したジャルジャルの「ピンポンパンゲーム」です。ルール無用の言葉遊びをハイスピードで展開し、漫才の伝統的な「ボケとツッコミ」の概念を根底から解体したこのネタは、審査員の間でも大きな衝撃を与えました。
特に松本人志は「一番面白かった。だが頭が追いつかなかった」と唸り、大会中最高評価タイとなる95点を献上。惜しくも最終決戦進出(上位3組)には届かず6位に終わったものの、漫才の新たな可能性を切り拓いたアバンギャルドな挑戦として、現在もなお多くの後輩芸人たちに語り継がれる伝説の一幕となりました。

【実態検証】敗者復活スーパーマラドーナの意地と笑神籤の功罪
2017年大会から導入された最大のルール改変が「笑神籤(えみくじ)」システムでした。従来のようにあらかじめ決められた出番順ではなく、MCがくじを引くまで次の出番が誰にもわからないという過酷なシステムです。
この笑神籤は、芸人たちに極限の心理的プレッシャーを強いることになりました。楽屋でいつ呼ばれるかわからない状態で4時間集中力を保ち続けなければならず、トップバッターを引かされたゆにばーす、準備時間を奪われたまま即座に呼び出されたカミナリなど、出番順の妙が如実に明暗を分けました。
その極限状況の中で凄まじい底力を見せたのが、スーパーマラドーナの敗者復活戦からの勝ち上がりでした。極寒の六本木ヒルズアリーナで行われた敗者復活戦を圧倒的な国民投票数で勝ち抜いた彼らは、本戦の4番手に突如として登場。「合コンの練習」をテーマにした狂気的な漫才でスタジオを爆笑の渦に巻き込み、ブランクを感じさせない圧巻の技術で640点(かまいたちと同率4位)を叩き出しました。
また、7番手で初出場を果たしたさや香の「強い気持ち 2017」も会場を席巻しました。「歌のお兄さん」になりたいと語る新山が放つ異様な熱量と、石井のキレのある身体能力を活かしたツッコミは、当時無名に近かった若手コンビの存在を一夜にして全国区へと押し上げました。
【プロの結論】2017年大会が現代お笑い界に与えた構造的変革
エンターテインメント評論およびメディア分析の視点から2017年大会を総括すると、この年は「M-1グランプリの審査基準が『様式美』から『感情の爆発力』へと回帰した歴史的分岐点」であったと結論づけられます。
【深層分析】なぜ和牛ではなく、とろサーモンだったのか
2015年のM-1復活以降、大会はトレンディエンジェルや銀シャリといった「テンポと構成の美しさ」を競う技術重視の傾向が続いていました。その頂点に位置していたのが和牛の「屁理屈漫才」です。無駄を極限まで削ぎ落とした台本と、緻密に計算された間の取り方は、まさに教科書的な芸術品でした。
しかし、審査員の大吉や礼二が手記などで後に明かした通り、コンテストの極限状態において最後に観客と審査員の心を掴んだのは、「今、目の前で自分の人生すべてを削って笑いをもぎ取ろうとする剥き出しの人間味」でした。とろサーモンが放った圧倒的な毒気と、ラストチャンスに賭ける魂の叫びは、緻密な計算を超えた感動と笑いのうねりを生み出したのです。
この「技術の完璧さ」対「感情の熱量」の対決は、その後の漫才界における評価基準を大きく多様化させる契機となりました。
M-1 2017 芸人たちの現在地|現代バラエティの主役たち
2026年現在の視点でこの大会を振り返ると、決勝の舞台に立っていた顔ぶれの凄まじさに改めて圧倒されます。
- かまいたち:M-1 2017では4位に終わったものの、同年のキングオブコント優勝に続き、圧倒的な実力を見せつけたことで大ブレイク。現在ではテレビ各局で冠番組を抱える国民的MCへと上り詰めました。
- マヂカルラブリー:上沼恵美子氏からの酷評劇という最大の挫折をバネに、2020年大会で見事に王座を奪取。バラエティ・ラジオ・演劇界を股にかける唯一無二の存在となりました。
- さや香:この大会での鮮烈なデビューを経て実力を磨き、2022年準優勝、2023年最終決戦進出と、M-1の顔へと成長しました。
- 和牛:3年連続準優勝という偉業を成し遂げながらもM-1王者には届かず、2024年3月末をもって惜しまれつつコンビを解散。それぞれの道を歩むこととなりましたが、彼らが残した漫才の完成度は今なお史上最高峰として称賛されています。
2017年大会は、ただの「一過性の賞レース」ではなく、平成から令和にかけてのお笑い界を背負って立つ才能たちが一堂に会した奇跡の交差点だったのです。
【M-1グランプリ2017】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:とろサーモンが優勝できた最大の理由は何ですか?
A1:ファーストラウンドを3位でギリギリ通過した勢いそのままに、最終決戦で「ラストイヤーの切迫感」と「中毒性の高い毒気」を爆発させ、審査員4名(博多大吉、春風亭小朝、渡辺正行、中川家礼二)の支持を集めたためです。和牛の完璧な構成美に対し、会場の熱狂と爆笑量で僅差の勝利をもぎ取りました。
Q2:マヂカルラブリーに対する上沼恵美子さんの酷評はなぜ起きたのですか?
A2:マヂカルラブリーの過剰な動きを中心とした前衛的なネタに対し、伝統的な「しゃべくり漫才」を重んじる上沼氏の審査基準と乖離があったためです。上沼氏は「本気で審査しているからこそ妥協できない」として厳しく苦言を呈しましたが、この叱咤が後の2020年におけるマヂカルラブリーの雪辱優勝へと繋がりました。
Q3:かまいたちのM-1 2017の最終順位と得点は?
A3:かまいたちはファーストラウンドで「640点」を獲得し、スーパーマラドーナと同率4位でした。同年にキングオブコント王者となっていたため史上初の2冠が期待されましたが、わずか5点差で最終決戦進出を逃しました。
Q4:和牛の2017年最終決戦のネタは何でしたか?
A4:最終決戦で披露したのは「旅館の仲居」をテーマにした漫才でした。水田信二の理不尽な宿泊客と、川西賢志郎が演じる仲居のやりとりが完璧な構成で展開され、審査員のうち松本人志、オール巨人、上沼恵美子の3名から票を獲得しました。
まとめ:泥臭さと狂気が生んだ漫才史に残る名勝負
M-1グランプリ2017は、正統派の頂点を極めた「和牛」と、異端の道を15年歩み続けた「とろサーモン」という、対極のスタイルが真正面からぶつかり合った奇跡の大会でした。
審査員の票が4対3に割れた結末、上沼恵美子氏の魂の説教、ジャルジャルが示した新時代の構造破壊、そして敗者復活から意地を見せたスーパーマラドーナの執念。そこには、台本通りにはいかない人間の生々しい感情と、人生を懸けた芸人たちの覚悟が確かに刻まれていました。時が流れた現在振り返っても、2017年大会の熱気は色褪せることなく、私たちに「漫才という表現の深さ」を雄弁に物語り続けています。 (出典: m1 グランプリ 2017(Yahoo!ニュース))